[医学] 人間関係の豊かさは健康に影響する

医学
[本記事で学べること]
・社会資本(social capital)とは何か
・個人にとっての社会資本と組織にとっての社会資本
・社会資本が健康に及ぼす影響について
・人と人との繋がりや人間関係が健康に及ぼす影響の具体例

こんにちは、SoftyStudyです。

あなたは自分の人間関係に満足していますか?

人間関係が豊かであれば気分がいいですし、精神的に安定するというのは簡単に想像できることでしょう。

一方で、人間関係や人と人との繋がりがあなたの健康にも影響するというのはご存知ですか?

本記事では人と人との繋がり・人間関係が健康に及ぼす影響について、社会疫学の観点から説明します!

社会資本(social capital)について

私たちは1人では生きていけません。

どんなに1人が好きな人でも、どんなに人付き合いが苦手な人でも必ず誰かと繋がりを持って生きています。

それは家族かもしれませんし、友達かもしれません。

社会資本(social capital)とは何か

社会資本(social capital)とは「『繋がり』を資源ととらえる概念」のことです。

個人や組織が持つネットワークを通じてアクセスできる資源、もしくはそのネットワークそのもの社会資本です。

もう少し簡単に言いましょう。

あなたは学校や会社でグループLINEに入っていますか?

もし入っていれば、そのグループを通じて、同じ学校の生徒や同じ職場の同僚に連絡を取ることができますよね。

何か勉強で行き詰まった時や仕事の進め方に悩んだ時に、そのグループライン内の友達や同僚、先輩に相談することができるでしょう。

この場合の友達や同僚、先輩が「社会資本」です。

さらにそれらをつなぐネットワーク、つまり今回の場合はグループLINEですが、それも社会資本の1つです。

個人にとっての社会資本

社会資本は個人レベルで見た場合と組織レベルで見た場合で異なります。

個人レベルで見た社会資本は「友人や知人との繋がりの量と質」です。

ここで重要なのは「量」だけではなく「質」も社会資本の指標の一つということ。

まずは「量」についてですが、たくさんの友達や知人が多いほど社会資本は豊かということになります。

というのも、友達や知人の数が多いほど、その友達や知人はより多種多様になりますよね?

そうすると、あなたが直面するそれぞれの問題に対して、それをサポートできる友達や知人がいる確率が高くなります

このような点で、「量」というのが社会資本の一つの指標になっているというわけです。

次に「」についてです。

たくさん友達がいたとして、その友達が全員「不良」だとしたらどうでしょうか?

あなたをサポートしてくれるどころか、悪の道に引きずり込もうとしてくるかもしれませんね。

また少し表現が悪いですが、たくさんの友達全員が超おバカさんだったとしたらどうでしょう?

これまた、あなたの助けにはなりません。むしろ彼ら彼女らはあなたを頼るばかりで、あなたの精力ばかり吸い取られていくことにもなりかねませんね。

このように、友達や知人は数が多いだけでは意味がありません。

その「」も大きく関わってきます。

このような点で「質」というのも社会資本の重要な指標となっているのです。

ちなみに、このように友達や知人に対して「質」という言葉を使い、査定するような考え方に嫌悪感を抱く方も多いと思います。

筆者自身も人に対して「質」がどうこうと言うのはあまり気が乗りません。

しかし、社会資本というのは「『繋がり』を資源ととらえる概念」でしたよね?

このように友達や知人を「資源」として捉えることで人間関係を科学していくための概念なので、ここは冷静にその考え方を受け入れていただきたいと思います。

決して日常生活の中でまで、友達や友人のことを「資源」として捉えて、その「質」を査定する必要はないですよ。

組織にとっての社会資本

前項で「個人にとっての社会資本」について解説しました。

ここでは次に、「組織」にとって社会資本とはどのようなものかについて考えていきます。

組織にとっての社会資本とは「連携する組織の量と質」です。

こちらでも「量」と「質」の両方が指標として絡んでいますね。

「連携する組織」というのはそのままの意味です。

つまり、今あなたが所属している組織(部活でもいいですし、会社の部署でも構いません。もっと大きく見て、学校や会社そのものも所属している組織と言えます)が繋がりを持っている他の組織が「連携する組織」です。

例えば、大学で考えてみましょう。

小さな大学でどこの大学とも提携を結んでいない大学 と
大きな大学で国内に限らず海外の有名大学とも提携を結んでおり、要望すれば留学も可能な大学

どちらの大学の方が豊かだと思いますか?

おそらく、満場一致で後者でしょう。

後者は他の大学と提携を結んでおり、交流が豊かですよね?

これが「組織にとっての社会資本が豊か」な状態です。

他にも、クラブ活動であっても他校のクラブとの連携が豊かなクラブであれば、合同練習をすることができたり、大会の情報を豊富に仕入れることができるでしょう。

会社でも他の有力な会社とやりとりがある会社なら情報交換等が豊かです。

このように、組織にとっての社会資本は、組織同士の繋がりの豊富さと言えます。

社会資本が豊かな方が良いのはなぜか

では、なぜ社会資本が豊かな方が良いのでしょうか?

それは「社会資本が豊かであるほどサポートを受けやすいから」です。

まずは個人レベルで考えてみると、先述の通り、友達や知人が多いほど、あなたの直面している問題を解決できる人がいる確率が高くなります

そうするとあなたはその友達や知人の助けを借りて問題を解決し、前に進むことができます。

さらに、友達や知人が多い方が集まる情報も豊富になりますよね。

これにより情報弱者にならずに済み、世の中の変化にも柔軟に対応できるようになります。

組織レベルでの社会資本も同様のことが言えます。

繋がっている組織が多いほど、その組織は援助を受けやすくなります

また合同練習や共同研究、共同プロジェクトなど、共同で物事を進めることができるので、単独の組織で取り組むよりも進捗力が格段に上がります

さらに情報共有も豊富になるので、時代に取り残されず、常に最新のトレンドを仕入れることが可能になります。

このように、「相互援助」「情報共有」などの観点から、社会資本は豊富な方が有利ということです。

社会資本が健康に及ぼす影響について

ここまでは一般的な「社会資本」についての解説をしました。

ここからは、「社会資本が個人の健康に及ぼす影響」について解説していきます。

社会資本が乏しい状況になると健康そのものに悪影響を及ぼすということがさまざまな点で明らかになっているのでそれらを見ていこうと思います。

社会資本の健康への影響は〇〇に相当!?

まずは社会資本の不足がどれくらい健康に悪影響を及ぼすのか、身近な有害物質と比べてみたいと思います。

その有害物質は「タバコ」です。

あなたはタバコを吸っているでしょうか?

仮に吸っていたとしても、そのタバコが健康に悪いということはきっとご存知だと思います。

しかし実は社会資本の不足、つまり「孤独」はそのタバコ以上に体に悪いということがわかっています。

なんと孤独はタバコを1日に15本吸うのと同じくらい体に悪いということが研究で明らかになっているのです!!

現在、日本人を数的に殺している最大の要因はタバコだと言われていますが、社会資本という観点も取り入れると、実は「孤独」もタバコと同等のレベルで日本人を殺しているということになります。

最近では核家族化による高齢者の独居や、結婚しない人の増加による一人暮らしの人の増加が問題視されていますが、そのように孤独を経験している方は毎日タバコを15本吸っているのとほぼ同じということです。

考えてみるとなかなか恐ろしいですね。

社会資本が健康に影響する具体例

さて、孤独がどれほど健康に悪影響かはわかっていただけたと思います。

ここからは具体的に社会資本が健康に影響する事例を見ていきます。

食卓はみんなで囲んだ方が良い

共食」という言葉をご存知でしょうか?

「ともぐい」ではないですよ!「きょうしょく」です。

家族や仲間と一緒に食卓を囲んで食事をすることをこのように「共食」と言います。

実は共食、つまり毎回の食事を誰かとともにしている人ほど、そうではない人に比べて「野菜の摂取量が多い」「鬱になりにくい」「長生きしやすい」ということがわかっています。

逆に独りでご飯を食べると「鬱になりやすい」「寿命が短くなる」などの悪影響があるということです。

ちなみに、独りご飯の悪影響を最も受けやすいのは「独居の高齢の男性」だそうです。

余談ですが、離婚による心身的悪影響も女性より男性の方がダメージが大きいそうで、男性の方が寂しさには弱いのかもしれませんね。

自戒の念も込めて、男性のみなさんは強がらず、素直にパートナーを大切にすることをオススメします。

役割はあった方が良い

地域の中で役割や当番のようなものが存在するということはありませんか?

公民館のお掃除当番であったり、地域の見回り隊の役割であったり。

そのような地域の役割のある高齢者の方が、役割のない高齢者に比べて長生き(正確には約12%ほど死亡率が低減する)ということがわかっています。

役割がある=他者に必要とされているという心理的状態が健康に良いのかもしれません。

また役割を持つことで外に出て、他者と会話することにも繋がります。

これも健康を保つ働きがあるのかもしれませんね。

地域の役割当番などは面倒と考えがちですが、ある程度積極的に役割を遂行することがあなたの健康に良いと思うと、少し腰が軽くなりませんか?

帰属意識が健康に影響する

自分がどの階層に属しているのかという自意識が健康に影響するということがわかっています。

これをステータス・シンドローム (status syndrome)と言います。

高い階層に属していると考える人の方が健康的であり、一方で自分は低い階層に属していると意識すると健康に悪影響が及ぶという現象のことです。

これも、自分の意識や心理状態が健康に影響するというものの好例です。

所得格差が健康に影響する

ある程度豊かな国では、個人の所得そのものではなく、意識している所得の差の方が健康や幸福度に影響するということがわかっています。

これはウィルキンソン仮説(所得格差仮説)と呼ばれ、高所得国では所得水準よりも所得格差の方が健康に影響するという仮説です。

例えば、日本は高所得国です。国の所得水準は十分に高く、多くの人は不自由なく暮らすことができています。

そこで年収2000万円の人がいるとしましょう。

外から見ると、この人はきっと幸せで、健康なはずですよね?

だって年収2000万円も稼げているのですから、不自由などないどころか裕福な生活を送れているでしょう。

しかし、この人の友人の多くが年収4000万円越えだとどうでしょうか。

この人はその友人たちとの「所得格差」を意識し、それが健康に悪影響を及ぼすのです。

年収2000万円という絶対量には関係なく、周りとの相対的評価が健康に影響するということですね。

このような観点からもやはり他人との比較というのは良いことがありません、、、。

最後に

ここまで「社会資本とは何か」「社会資本が健康に及ぼす影響」について解説してきました。

人と人との繋がりが、心だけでなく身体的健康にも大きく影響するということをお分かりいただけたでしょうか?

縁を大切にする」というのは昔から大切にされてきた考え方ですが、これは医学的、社会疫学的に見ても正しいことだということが証明されているんですね。

筆者も、このサイトに来てくださっているあなたとのご縁を大切に、今後もますますサイト運営を頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いします!

[要点整理]
・社会資本(social capital)は繋がりを資源ととらえる概念のこと
・個人にとっての社会資本は友達や知人の量と質
・組織にとっての社会資本は提携する組織の量と質
・社会資本が豊かな方が相互援助と情報共有が豊かになる
・孤独はタバコを1日15本吸うのと同じくらい悪影響
・食卓を皆で囲む「共食」で健康を維持しよう
・地域の役割は進んで受けよう
・帰属意識が健康に影響する(status syndrome)ことを知り、その悪影響を抑えよう
・所得格差が健康に影響する(ウィルキンソン仮説)ことを知り、その悪影響を抑えよう

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