コロナウイルスってどんなウイルス?

この記事を書いている今は2020年の2月ですが、今は中国を中心に「新型コロナウイルス」というものが流行しています。
感染者がどんどん増えていて、死者も複数出ていますね。
世間を騒がせているこのコロナウイルスですが、SARSやMARSの原因ウイルスとして知っている方も多いのではないかと思います。
ところで、コロナウイルスってどんなウイルスか知っていますか?
かなり根本的な問いかけですが、例えば、コロナウイルスはアルコール消毒が有効なのでしょうか?
感染予防にはマスクで十分なのでしょうか?
感染するとどうなるのでしょうか?
皆さん、どれくらいご存じですか?
僕は所詮医学部の大学生ですので、細菌学者ほどの知識はありません。
しかし、それなりの専門知識はあります。
なので、ウイルス全般とコロナウイルスの一般的な知識をシェアすることで、皆さんがメディアなどの情報を正しく読み取れるようになるお手伝いができればと考えています。

 

ウイルス概論

まず、ウイルスの基本的な構造についてみてみましょう。

大雑把に分けるとウイルスは「エンベロープ」という膜を持つものと持たないものに分けられます。
ここではこのことだけでいいので知っておいてください。
というのも、このエンベロープの有無が、アルコール消毒が有効か無効かに関わってくるからです。

汚い絵で申し訳ないのですが、以下のイラストを参考にしてみてください。

このエンベロープは脂質二重といい、その名の通り脂質でできた膜が二重に重なっている状態です。
他、スパイクというのはエンベロープに埋まっているタンパク質のことで、これは病原性を示します。
カプシドはゲノムを覆っている殻で、これは脂質ではなくタンパク質でできています。
ちなみに、ゲノムというのはいわば遺伝子のようなものです。DNAやRNAのことだと思っておいてください。

 

アルコール消毒に関して

アルコールで消毒ができるメカニズムを簡単に説明します。
いわゆる消毒用アルコールはエタノールというアルコールを含んでいます。
エタノールは有機溶媒の一つなので、有機物である脂質を溶かすことが可能です。
さて、先ほどのウイルスの構造で、エンベロープは何からできていましたか?
そうです。脂質です。
つまり、アルコールを作用させると、このエンベロープを分解することができるのです。
よって、エンベロープを持つウイルスはアルコールによりその構造を破壊させるので、無効かすることができるというわけです。
一方で、エンベロープを持たないウイルスにアルコールを作用させるとどうなるでしょうか。
これらのウイルスは、アルコールによって分解される構造を表層に持っていません。
よって、アルコールで破壊されることはなく、無効化されることもないというわけです。
ちなみに、ノロウイルスは、エンベロープを持たないウイルスの一種です。
ぜひ以下の記事も参考にしてみてください!
https://softystudy.com/norovirus/

 

コロナウイルスについて

さて、では本題のコロナウイルスの構造についてみていきましょう
コロナウイルス科は直径80~160nmほどで、エンベロープを有するウイルスです。
また、コロナウイルスはエンベロープから比較的長いスパイクが出ています(これをペプロマーといいます)。
このスパイクの様子が、「太陽のコロナ」のように見えることから、コロナウイルスと呼ばれているんですよ。
さて、ここまでウイルスの構造について学んだ皆さんならもうおわかりでしょうが、コロナウイルスはエンベロープを持つので、アルコール消毒が有効ですね。

また、冒頭で述べましたが、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)の原因ウイルスもコロナウイルス科のウイルスです。コロナウイルスは3つのグループに分けられて、SARSとMARSはともにgroup 2bに含まれています(この辺りは全然覚える必要はないですよ、参考までに)。

また、コロナウイルスにかかったときの症状はまずは「かぜ症候群」です。要は普通の風邪のような咳嗽(せき)、鼻汁、咽頭痛(のどの痛み)、発熱、頭痛などです。

 

予防法

コロナウイルスの感染経路は主に、飛沫感染接触感染の2つです。
飛沫感染というのは、感染者が咳やくしゃみをした際に唾液等が飛び散り、それを吸い込むことにより感染する様式です。
また、接触感染は、感染者が鼻水や唾液のついた手で何か他の物を触り、それを別の人が触って、その手で鼻や口を触ることによる感染です。

飛沫感染の予防としてはマスクの着用があげられます。
しかし、大事なのは、感染者がマスクを着用するということです。
コロナウイルスに限らず、体調が悪く咳が出るときには、マスクの着用を心がけましょう。

予防としてより大切なのは接触感染予防であると考えられます。
例えば、電車でつり革を握ったその手で、鼻や口の周りを触ったりしていませんか?
また、マスクをつけて外出した後、マスクを外す際にマスクの外側の面を触ってマスクを外し、その手で食事をしたり、眼をかいたりしていませんか?
接触感染はこのような油断した瞬間に起こります。
外出したら、手をしっかりと洗うまで顔の周りは触らないようにしましょう。
また、マスクを外す際は耳ヒモのところから外し、内側を触って、外側を包むようにしてたたみ、捨てるようにしましょう。また、そのあとしっかり手を洗いましょう。

このようにコロナウイルスだからといって特別な予防をするわけではありません。
マスクを適切に扱い、手洗いやアルコール消毒を行うことが予防策として考えられます。

 

まとめ

いかがでしたか?
予防策のところを読んで「なんだ、それだけか」と思った人も多いかもしれません。
でもその簡単なこと、ちゃんとできていますか?
きっとできていない人が多いんではないでしょうか。
コロナウイルスだけでなく、様々な感染症の予防になりますので、これを機会に今一度、自分が予防できているか確認してみて下さい。

また、ここで学んだウイルスの構造と予防法の関係を理解したうえで、他のウイルスに対しても適切な予防ができているか考え直してみるとよいでしょう。
また、興味のある方はさらにウイルスや細菌について学んでみてください。
巷で言われている予防法にデタラメなものが結構あることもわかると思います。
機会があればこのブログにも書いて皆さんにシェアしますね。

何より、皆さんがコロナウイルスをはじめ、感染症にかかることなく、元気に毎日を過ごせることを本当に祈っています。お元気で!

 

参考

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)について紹介しています。

 

 

 

では 。。

 

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