アルコールと先天異常の関係

これから子どもを持とうと思っている方々は、その子どもが健やかに生まれてきてくれることを願ってやまないと思います。
僕は子どもがいるわけではありませんが、成長するにつれて、自分が大切に思う人の幸せこそが自分の幸せなんだということを痛感しています。
さて、薬や病気などは明らかに”体に悪い”ということがわかると思いますが、アルコールに関しては悪い印象が弱いのではないでしょうか。
もちろん、妊娠しておなかが大きくなると飲酒をきちんと控える人が多いと思います。
しかし、飲酒を控えるタイミングはそれで大丈夫なのでしょうか。
そもそも、アルコールは胎児にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
ということで今回は、僕が発生学で学んだ知識を皆さんとシェアしたいと思います。
女性だけでなくこれからお父さんになる男性の方々にも正しい知識を持っていただきたいです。
よろしくお願いします。

胎児に対するアルコールの影響

まずはアルコールが胎児にどのような影響を及ぼすのかについて説明します。

妊婦さんがアルコールを摂取することと胎児の先天異常に関連があることは様々な研究により十分に証明されています。
ですから、まずはっきり言っておきたいのが、

アルコールは胎児に確実に悪影響を及ぼす

ということです。
アルコールは、脳の形態的な異常(脳そのものの形成が異常となる。小頭症や全前脳胞症など)、知的障害、顔面以上、心臓異常など様々な異常を引き起こすので、これらをまとめて胎児性アルコールスペクトル障害(FASD: fetal alcohol spectrum disorder)といいます。

実際、知的障害の原因の第1位はアルコールです。
アルコールをどれくらい摂取すると先天異常を引き起こすのかというのはまだわかっていませんが、発生の感受期(後述)において1回でも大量飲酒をすると口腔顔面裂などの先天異常のリスクが上がると考えられています。ちなみにここでいう「大量飲酒」とは「1杯をエタノール10gと換算して5杯以上」を表します。
ビールなら大体アルコール度数5%ですから、500mlで0.8g/ml×500ml×0.05=20g(15℃のアルコールが約0.8g/mlであるとして計算)
よって、大きい缶なら2本半くらいでダメということになりますね。
とはいえ、悪影響があるとわかっているわけですから、一滴も飲むべきではないでしょう。

受精が起こる時期

さて、そもそも受精ってどのようなタイミングで起こるか知っていますか?
女性の方は学校の保健の授業で習うのかもしれません(僕は男なので、女性の方がどのような保険の授業を受けているのか知りません…。これ、日本の教育の良くないところの一つだと個人的には思います。妊娠は女性だけの問題ではありませんから。)。
しかし、ほとんどの男性はこれについては知らないのではないでしょうか。

まず、卵子というのは、通常、排卵後12時間以内に受精されます。

しかし精子に関しては、排卵の6日前までに射精されていれば、女性の生殖管内にためられて生存し、卵子を受精させることが可能です。
つまり、排卵日の一週間ほど前に性交渉しても、妊娠する可能性があるということです。精子って女性の体内では結構長持ちするんですよ。

さて、受精した瞬間に「受精した!」と気づくわけではありませんよね。
多くの場合、女性は月経が2回続いて起こらない場合に産科医を訪ねます
ということで、正確な受精時期というのはわからないんですよね。
このころにはいつ性交渉を行ったかの記憶も曖昧でしょうし。

ちなみにですが、産科医は最終月経の初日から数えて280日(40週)後を出産予定日とします。
しかし、正確には、受精後288日(38週)後が出産予定日です。

それともう一つ、合わせて知っておいていただきたいのですが、着床が正常に起きていても、栄養膜の浸蝕作用というものにより、妊娠14日ごろに出血が起こることがあります。これを月経と間違えて、妊娠の発覚が遅れるということもしばしばあります。

先天異常発生リスクの高い妊娠時期

先天異常誘発リスク(先天異常を引き起こすような物質、出来事などのこと。この記事のテーマであるアルコールもこの一つ。)に対して最も感受性の高い(影響が及びやすい)時期は
妊娠3週から8週の間です。

さてここで思い出していただきたいのですが、産科医を訪れるのは二回続けて月経が起こらなかった場合でしたよね。
つまり、妊娠検査をしよう、となるのは妊娠8週頃なわけです。
これ、どういうことかわかりますか?

先天異常誘発リスクに対する感受性のもっとも高い妊娠3~8週の間は、妊婦さんは自分が妊娠しているとは気づいていないんです。
なので、この時期に例えば飲み会などがあっても、妊婦さんは悪気なくアルコールを摂取してしまいますよね。
それが胎児に影響を及ぼしてしまうかもしれないのです。

したがって、避妊せずに性交渉した場合には、その日から妊娠していると仮定して、飲酒などは避けたほうがよいかもしれません。
実際に妊娠が発覚したときにはもう手遅れかもしれませんから。
で、もちろんこの時、ぜひ旦那さんも飲酒を控えるなどしてくださいね。
もちろん会社の飲み会など、付き合いとして仕方ないことはあるかもしれませんが、それ以外は奥様と一緒に乗り越える姿勢を見せることが大切だと思います。
「俺は飲むけどお前は控えろ」というのは理不尽ですし何よりお酒を我慢する気が起きなくなってしまうでしょうから。

 

まとめ

いかがでしたか?

先天異常のリスクの高い時期にはまだ自分が妊娠しているかどうかわかっていないというのはなかなか怖いですよね。

大切な命ですから、正しい知識を持って準備するのが大切ですよね。

ここでは、先天異常誘発リスクに対する感受性が最も高い時期は3~8週といいましたが、それ以外の時期が安全というわけではありません。妊娠中はアルコール等胎児に悪影響を及ぼすものは極力摂取しないように努めてください。

この記事が少しでも皆さんの支えになっていれば幸いです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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では。。

 

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