子宮頸癌に関して、非常に残念なことに、実は日本はかなり遅れた国となっています。
このページでは子宮頸癌とはどのようながんか、頻度はどうか、原因は何か、予防法は何かなどについて説明し、皆さんと一緒に子宮頸癌について考える機会にできればと考えています。
子宮頸癌とは何か
子宮頸癌はその名の通り、子宮頸部に発生する悪性腫瘍のことです。
子宮頸部というのはちょうど子宮の入り口部分です。
子宮と膣の境目という言い方もできるでしょう。
子宮頸癌の頻度、好発年齢、原因などについて
日本では毎年約11000人の女性が子宮頸癌にかかり、また約3000人の女性が子宮頸癌によりなく亡くなっています。
これは決して稀な疾患ではなく、73人に1人の女性は一生のうちに一度は子宮頸癌と診断されると言われています。
また、好発年齢は20歳から40歳くらいの若い女性です。
ちょうどお子さんを産もうとする頃ですね。
結婚し、ある程度安定してきて、いざ子どもを産もうと考えたときに子宮頸癌と診断され、子どもが産めない、それどころか自分の命が危うい、、、、。
そんな状況になる、残酷ながんです。
さて、このがんですがほとんどの原因はHPV(Human Papilloma Virus:ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染です。
HPVは200種類以上存在するのですが、そのうちのいくつかの種類が子宮頸癌の発生に関与しています。
ちなみにこのHPV、基本的に「イボ」を作るウイルスです。
みなさん、きっと足の裏などに魚の目ができたこと、一度はあるのではないでしょうか?
あれはHPVに感染している状態です。
ただし、魚の目のHPVは子宮頸癌を発生させるものではないのでそこは勘違いしないでください。
ですがこのように、HPVというのは本当にそこら中に普通に存在するウイルスであるということを覚えておいてください。
子宮頸癌を引き起こすHPVはハイリスク型と言われており、16,18,52,58型などがそこに含まれています。
このようなハイリスク型HPVが子宮頸部に付着し、感染することで子宮頸癌に進行します。
感染経路は主に性行為です。
要はHPVを持っている男性と性行為を行うことで感染するのです。
それに、この男性は誰か別の女性からHPVを貰ったということですね。
あなたが感染した場合、そのウイルスは彼氏の元カノからきたものであって、しかもその元カノはきっとその元カノの元カレから貰ったということ。
まあ、誰から貰ったかというのは本質ではないですが、少し気分的にもいやですね。
性交経験女性の80%が一度は感染すると言われています。
しかし、感染しても90%ほどは免疫により排除されます。
排除されなかったもののうち1%以下のものが子宮頸癌に進行すると言われています。
これを聞いて「なんだ、レアじゃん。じゃあいけるわ」と思った方、いませんか?
その認識は間違いです。
分母を考慮してくださいね。
あなた自身、どれくらいの頻度で性交渉しますか?
相模ゴムのデータによると、20代女性は3.9回/月、30代女性は2.4回/月、40代は1.6回/月の頻度で性交渉を行っているそうです。
20代女性の頻度を例に考えてみると、年間の性交渉回数は3.9×12=46.8回です。
仮にパートナーがHPVを持っていた場合、感染し癌に進行しない確率は99/100の46.8乗ですから大体60%くらい。
つまり1年間だけでも40%の確率でがんになるリスクがあるということです
注意:パートナーがHPVを持っているという過程や、一回の性交渉で必ず感染するという過程などはかなり粗い計算です。この計算はあくまでも参考程度に見てください。
とにかく、子宮頸癌になる危険はありふれているということを覚えておいてください。
予防方法は?
予防方法はHPVワクチンの接種と定期検診です。
子宮頸癌はウイルスにより発症するがんということで少し特徴的ながんなのですが、原因が分かっているがんでありそのワクチンが開発されているという点において、撲滅させることのできうるがんと言われています。
しかし、日本ではHPVワクチン接種の積極的推奨は行われていません。
これは、接種後に体の異変が生じたという報告によるものですが、このことに関する科学的な因果関係は示されていません。
この積極的推奨が行われなくなり、2000年以降の女児のHPVワクチン接種率はほぼ0となっています。
日本でのワクチン接種率は1%未満ですが、欧米諸国でのワクチン接種率は80~90%です。
これにより欧米諸国での子宮頸癌はかなり少なくなっていいます。
日本での子宮頸癌検診の受診率は30%程度ですが、欧米諸国での受診率は70~80%となってきています。
ワクチンを打たないだけでなく、検診すら受けていないという状況です。
このままでは、多くの先進国で子宮頸癌は撲滅され、日本に特徴的ながんとなると言っても過言ではありません。
このような状況、みなさんはどうお考えになられますか?
日本産婦人科学会やWHOはHPVワクチンの接種は必要であると考えています。
これはHPVワクチンの効果や安全性など、あらゆる国で接種され、がんを予防しているという事実から明らかでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
女性の皆さんの中には、もう子宮頸癌ワクチンというものはなくなったものだと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
まして、男性は「我関せず」という感じの方もいらっしゃるでしょう。
でもこの問題、決して無関心ではいられません。
男性の皆さん、あなたが自分の大切な人の命を脅かすかもしれません。
女性の皆さん、子どもを持てなくなるどころか、大切な命を落としてしまうかもしれません。
科学的な根拠を元に正しく情報を受け取って、自分自身や自分の大切な人を守ってください。
以下に参考となるサイトを貼っておきますのでぜひ目を通してくださいね。
それと、最近、日本でも9価のワクチンが承認されつつあるそうです(https://www.kango-roo.com/work/7552/)
これまでのワクチンは4価で、4種類のHPVにしか効果がありませんでしたが、9価ワクチンは9種類のHPVに効果があり、かなり予防率がアップしています。
こういう情報もあまり届いていないのではないでしょうか。
関心を持って、自分でアンテナを張ることが大切であると思います。
いつか、子宮頸癌に苦しむ方々がいなくなることを本当に心の底から願います。
参考(上の3つは必ず読んでください)
・http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
・http://www.jsog.or.jp/uploads/files/jsogpolicy/HPV_Q%26A.pdf
・http://www.jsog.or.jp/uploads/files/jsogpolicy/WHO-slides_CxCaElimination.pdf
・https://www.sagami-gomu.co.jp/project/nipponnosex/times_sex.html
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