ノロウイルス(Norovirus)
ノロウイルス(Norovirus)は12月から3月頃までの冬場に流行するウイルスです。
かかるとウイルス性胃腸炎を引き起こして、強烈な腹痛と下痢、嘔吐を伴います。
経験したことのある方ならわかると思いますが、それはそれはキツイ…
トイレから出られなくなります。
お子さんが幼稚園保育園や学校で感染してきて、吐瀉物の掃除で大変だったという親御さんもいるでしょう。
さて、そのお掃除の時、どうやって掃除しましたか?
水などで拭いた後、アルコールで拭いて殺菌した、なんて方も多いのでは無いでしょうか。
でもちゃんと拭いたし、ちゃんとアルコール殺菌もしたのに自分も感染したしまったり…
しかし、ノロウイルスってアルコールで殺せるのでしょうか…
アルコール殺菌とは
ウイルスには、膜を持つものと持たないものがいます。この膜をエンベロープ(envelope)と呼びます。
(用語は特に気にしなくていいです!)
このエンベロープは脂質二重膜でできています。簡単に、脂肪分や油のようなものの膜でできていると思っていただいて
大丈夫です。
さて、アルコールについてですが、これは有機物でして、油に溶けやすく(混ざりやすく)、水に溶けにくい(混ざりにくい)
という性質があります。
つまりアルコールは脂質(油)を分解することができるんです。
だから、エンベロープを持つウイルスに対してアルコールを作用させると、そのエンベロープが分解されてしまい、
ウイルスは働けなくなってしまいます。
これがアルコール殺菌のウイルスに対する原理です。
エンベロープの有無
エンベロープを持つウイルスの例を挙げておくと、インフルエンザウイルスやヘルペスウイルスなどです。
だからインフルエンザにはアルコール殺菌が有効なんですね!
さてさて、本題のノロウイルスはどうかというと…
実はコイツ、エンベロープを持っていません…
よってアルコールで不活化することができないんです!
ちなみに、[エンベロープを持たない→脂質分解の影響をあまり受けない]
だからこそ、胃酸などの消化酵素に殺されずに胃腸に感染し、あの最悪の吐き下しを引き起こすんですね…
なんてヤツ...。
ここまででもうお分かりかと思いますが、ノロウイルス患者の吐瀉物を掃除する時にアルコールを噴霧したとしても、
ノロウイルスは死にません!
じゃあどうしたらいいの? ~ノロウイルス対策~
アルコールが効かないならどうしたらいいんでしょうか。
まず、掃除の観点から見ると、アルコールではなく、ハイターのような強力な還元剤を利用して拭きましょう。
また掃除の際は自分の手につかないよう、ゴム手袋の着用をお勧めします。
さらに、後述しますが、空気中に舞い上がったノロウイルスを吸い込むことでも感染します。
なので、マスクの着用も行ってくださいね。
また、手洗いはとても有効な予防法です。というのも先述のとおり、ノロウイルスはアルコールなどで不活化することは
できません。ですから流水による物理的な除去が有効になります。
結局、手洗いが一番の予防法なんです!!
ノロウイルス予防のためのplus α
ノロウイルスは基本的には糞口感染です。
しかし、ノロウイルスを含んだ吐瀉物が乾燥し、ホコリと共に舞い上がって、それを吸い込むことで感染が起きることもあります(塵埃感染といいます)。
また、トイレでの感染も気をつけたいところです。
ノロウイルス患者が排便した後、水洗トイレの水を流しますよね。
すると、水が流れる際にとても微細な水(正確にはエアロゾルと言います)が空気中に拡散します。
この中に、ノロウイルスが混ざっていますので、ノロウイルス患者が入った後のトイレで呼吸をすると、
ノロウイルスに感染する可能性があるんです!
なので、家族間では、トイレを流すときは必ず蓋を閉めてから流す(流してから閉めちゃ意味ないですよ!)ように決めておくと良いでしょう。
他、気を付けたいのは駅などの公衆トイレです。
ここは「蓋を閉めろ」などと言えませんので、使わないというのが一番の予防法です。
でも、いきなりトイレに行きたくなることもあると思うので、トイレに行く際は必ずマスクなどをして入るようにすると、
少しは感染確率を下げることができるでしょう。
このように、ノロウイルスは、呼吸器を介した空気感染はしません(つまり、ノロウイルス患者と同じ空間にいるだけでは
感染しません)が、間接的な空気感染(ホコリやエアロゾルなど)は起こりますので十分注意が必要です。
最後に
いかがでしたか?
なんでもかんでもアルコールで殺せる、というわけではないんですね。
巷では、アルコール消毒でノロウイルスを防げる、などと謳っている人やサイトがありますが、あれは信じないでくださいね。
正しい知識があれば、自分や、自分の大切な人を守ることができます(自戒の念もこめて)。
なんでも鵜呑みにせず(もちろん私の言っていることも!笑)、一度疑うのが大切なのかもしれません。
もちろん、ハイターのような強力を還元剤を手指に使うことはできませんから、手指に関しては、
アルコール消毒もある程度効果を見込むことはできるでしょう。
それでも、こまめな手洗いに勝るものではないと思いますので、ぜひまめに手を洗ってください!
ここで得た知識を皆さんの大切な人にシェアして、健康に楽しい毎日を送ってくださいね!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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では。。
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