GABAチョコレートって本当に効くの?

 

最近、GABA入りの食品が流行っていますよね。
チョコレートやココアなど。
そして、「GABAは精神を落ち着ける」、「安眠できる」といった効果があるといわれていて、人気を得ています。

実際、twitterなどを見ていても「GABA入りのチョコレートを食べてから寝るととても快眠だった」などという書き込みを見ることができます。

さて、このGABAですが、本当に気持ちを落ち着ける作用があるのでしょうか?

そもそも、GABAって何なんでしょうか?

正体のわからないものを言われるがままに摂取するのって、考え直してみると怖くありませんか?

そこで今回は、GABAとはどのような物質なのかについて説明した後、その知識から、GABAが気持ちを落ち着ける効果があるのかについて考えていきたいと思います!

 

神経について

まずは、神経についてお話します。

僕たちの体にはたくさんの神経が張り巡らされていて、これにより脳からの指令が各器官に送られたり、また各器官からの情報が脳に送られたりしています。

神経は大きく分けると中枢神経と末梢神経に分けられます。
中枢神経は脳や脊髄のことです。
一方、末梢神経とは、僕たちが一般によく言ういわゆる「神経」です。

さて、この末梢神経もさらに、体性神経と自律神経に分けられます。体性神経とは、痛みや感覚を脳に伝える知覚神経と、脳からの運動指令を各器官(効果器といいます)に伝える運動神経のことです。
そして、自律神経は、主に内臓運動(消化とか、心臓の拍動とか、無意識の呼吸とか)に関わる神経です。無意識の活動に関わっている神経ということですね。だから自律(僕らが意識的にコントロールしなくても働く)神経といいます。

 

神経が情報を伝える仕組み

次に、神経がどのようにして情報を伝えているか、簡単に説明します。

まず、それぞれの神経細胞は、長ーい腕のようなものを別の神経細胞へと伸ばしています(これを
軸索といいます)。
神経はこの軸索上を、微量の電流を伝わらせることで情報を伝えています
といっても、この電流に種類があるというわけではなく、神経が興奮すると電流が伝わり、そうでなければ伝わらないという、オン・オフの情報です。

さて、神経細胞同士は密着してつながっているわけではないので、端まで伝わってきた電流は次の神経細胞にそのままは伝えられません。
軸索の末端と次の神経細胞との間のスペースをシナプスといいますが、
そのシナプスに軸索から「神経伝達物質」という物質を放出します。
神経細胞はこの神経伝達物質を受け取ると、興奮して電流を生じ、次の神経細胞に情報をさらに伝えたり、もしくは興奮が抑制されて、次の神経細胞に情報が伝わるのを止めたりします。

おなじみの汚いイラストを貼っておきますね(笑)

僕たちの脳内はこのようにたくさんの神経細胞が、たくさんのシナプスを形成して連絡し合っています。
そしてそこには、相手を活性化するシナプスもあれば、抑制するシナプスも存在します
この作用は、放出される神経伝達物質によって異なります。

活性化するシナプスはアクセルのようなもの、そして抑制するシナプスはブレーキのようなものです。これら二つが絶妙なバランスを保っているから、僕たちは繊細な動き、思考が可能になっているんですね。

GABAについて

さて、本題のGABAです。

GABAはγアミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid)という物質です。
この物質、実は僕たちの体内に常に存在しています。

抑制性シナプスで放出される神経伝達物質の一つがこのGABAなのです!

つまりGABAは「ブレーキを掛けろ」という言葉のようなものなんです。

 

GABAを食べる(飲む)とどうなる?

僕たちにとって中枢神経(能や脊髄)は生きるために最も大切な器官の一つです。
なので、脳や脊髄には、血液中の物質が直接は届かないようになっています。
この構造を「血液脳関門」といいます。フィルターのようなものです。
血中には体外から侵入した病原体や、誤って摂取した毒物などが含まれている可能性があり、それらから脳を守っているんですね。

この血液脳関門ですが酸素や二酸化炭素といった小さな分子は自由に通ることができます。
逆に言うと、大きな物質は通過できません

さて、問題のGABAはどうか。

答えは…「大きすぎて通れない」です!

つまり、あなたが食べたり飲んだりしているGABAは血液中を流れるだけで、脳には到達することなく、そのまま排出されています。
これで効果が出るといえるでしょうか…。

さらに、もう皆さんはGABAがどのような物質か知っていますよね。
そう、抑制性シナプスにおける神経伝達物質です。

仮に、食べたGABAがちゃんと脳に到達するとしたらどうなりますか?

脳内で絶妙に調整されていたアクセルとブレーキの関係が完全に崩れますよね。

ブレーキが利きすぎる状態になります。これ、大丈夫だと思いますか?
きっと痙攣などが起こり、死んでしまうかもしれませんね。
(そんなことがないように血液脳関門があるのですが。)

ここまでからわかるように、GABAを食べることによる効果はあまり期待できないと考えられます。

もちろん、GABAの摂取により何か二次的な現象が生じ、それが精神の落ち着きをもたらすということも考えられなくはないですが、少なくとも、摂取したGABAそのものによる直接の効果は考えられないでしょう。

 

 

まとめ

いかがでしたか?

まあ、おいしければなんでもいいかもしれませんが、少し似非科学臭がしますよね。

ここで言いたかったのは、GABA製品を買うな、ということではなくて、
どんなことでも少し疑う目線をもって、自分でいろいろ調べることが大切なのではないか
ということです。
自戒の念も込めて…。

プラセボ効果もありますし、本当に効くと思って食べたら落ち着くんでしょうけどね。
そういう意味では、真実が必ずしも正義なわけではないのかもしれません…。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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では。。

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